初心者にやさしいメモリーの知識・解説−DDR5
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2023年11月5日調査更新
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【 DDR5:第5世代DDRメモリー 】
DDR5 SDRAMは、ダブル・データ・レート5 同期式DRAM (Double Data Rate 5 Synchronous Dynamic Random-Access Memory) の略である。
世界初のDDR5 SDRAM は、2020年10月上旬に、SK Hynix社から発売となった。転送速度は4,800Mbps以上とあるので、DDR5-4800と思われるが、今回の調査では、詳細な内容ニュースが見つからなかった。
従来から、規格化は進んでいるが浸透は遅くなるDDR5とされていたようだ。
米国の半導体標準規格策定を目的とする業界団体JEDECが、次世代DRAM「DDR5」の標準規格を公開したのが2020年7月と、10月の世界初の発売直前であり、また2番目のアップデート を公開したのが、2022年8月であった。
(JEDECのDDR5 規格発行プレスリリースによれば)
開発者に 2 倍のパフォーマンスと大幅に改善された電力効率を提供。
DDR5 は、クライアント システムや高性能サーバーなど、幅広いアプリケーションでの効率的なパフォーマンスに対する高まるニーズを満たすように設計された。
この規格は、高速でのチャネル効率を低下させることなく、メモリ パフォーマンスをスケーリング(※ scaling) できるように設計され、バースト長(Burst Length) BL=16 に、メモリバンク数を32にそれぞれ倍増した。
※注)スケーリング(scaling): サーバ数やユーザ数が増えても、システムのアーキテクチャが機能し続け、パフォーマンスが低下しないようにする技術)
※注)バースト長(Burst Length): 一気に連続してアクセスされるセルの数(ページ最下段にその例あり)
DDR5-4800 (PC5-38400) 8GB
大雑把に言ってしまえば、前のDDR4 SDRAMと比較して、DDR5は消費電力を削減しつつ、DDR4 より帯域幅(データ転送速度)が2倍(4,800〜6,400Mbps)になった。
電源電圧を1.1V に下げた DDR5 は、DDR4 の 1.2V より消費電力が最大 20% 減った。
さて、ここからDDR4 SDRAMと比較した追加機能にどんなものがあるか見ていきましょう。メモリーの専門用語がやたらと出てきますが、自分も勉強しながら、出来るだけ解りやすく書いてみたつもりです。
受信回路に信号の整形回路を搭載
DRAMシリコンダイの受信回路に信号の整形回路を搭載し、整形回路には、判定帰還型等化器(DFE :Decision Feedback Equalizer)を使った。
データ転送速度が3200Mbpsを超えるようになると、データ信号のパルスが後続の信号パルスに干渉する現象が発生し、その干渉が相当悪化するという。
このため、DRAMのピンに到達する信号は、かなりの歪みを抱えることになる。そこで歪みを整形する回路が必要となってくる。整形アルゴリズムにDFEを選択したのは、挿入損失が低くて雑音が増えないからだという。
ファイングレインリフレッシュ(Fine Grain Refresh)機能 :
メモリーのリフレッシュ間隔(インターバル時間)を短くすることにより、リフレッシュサイクル時間を短くすることを指すようです。
このすべてのバンクリフレッシュにより、16 Gbpsのデバイス遅延が改善するという。
同一バンクセルフリフレッシュ機能 :一部のバンクが他のバンクの使用中にリフレッシュできるようにすることで、パフォーマンスを向上させる。
デュアル 32 ビットサブチャネル
DDR5 では、メモリコントローラによるデータアクセスの効率向上とレイテンシ(latency※)低下のため、メモリモジュールを 2 つの独立した 32 ビットのアドレッシング可能なサブチャネルに分割した。
DDR5 モジュールのデータ幅は依然として 64 ビットだが、2 つの 32 ビットのアドレッシング可能なサブチャネルに分割したことで、全体のパフォーマンスを向上させた。
(※注記)レイテンシ(latency)とは:転送要求を出してから実際にデータが送られてくるまでに生じる、通信の遅延時間のこと
またサーバークラスメモリ(RDIMM)の場合、ECC のサポートのために各サブチャネルに 8 ビット追加され、サブチャネルあたり合計 40 ビット、ランクあたり 80 ビットとなった。
オンダイECC機能: ECC = Error Checking and Correction
実装する大きな理由は、リフレッシュインターバルにおける不良ビットの発生の増大がある。(これは蓄積信号電荷の消失によって起こる。)
これをシリコンダイ上に置く、ECCの採用によって緩和するという。
オンダイECCは、DIMMモジュールに追加チップで搭載されるECC機能(ECCメモリ)とは異なる。DIMMモジュールのECC機能ではCPUとDIMM間のデータ転送のエラー訂正を行う。
電源電圧 Vddが1.2 Vから1.1 Vに移行し、電力効率が向上。
DDR5 は5V電源で供給され、(PMICと呼ぶ電源管理 IC)オンボード回路を使用してメモリチップが必要とする低電圧(1.1 V)に変換する。マザーボード上でなくメモリチップ近くで最終的な電圧に調整することでより安定した電力を提供する。
PMIC は、電圧のランプとレベルを設定し、電流を監視。従来、電源管理は、マザーボード上で行われてきた。PMIC の導入により、閾値保護、エラーインジェクション機能、プログラマブル・パワーオンシーケンス、電源管理などの追加機能が可能となる。
MIPIアライアンスのI3Cバスを採用したシステム管理といった改善。
DIMM上に電圧レギュレータを配置することによる電圧耐性や歩留まりを向上させた。
(以上の出典は:ウィキペディア(Wikipedia) DDR5 SDRAMなど多数)
【 フォームファクタ 】
メモリモジュール自体は (DDR5とDDR4 共に288 ピン)と、DDR4 に似ていますが、著しい変更があるため、レガシーシステムとの互換性がなくなっています。キーの位置(中央の切込み)が移動し、互換性のないソケットに取り付けられないようになっています。
モジュールキー切り込みと PMIC(Kingstone社より引用)
モジュール中央には、DDR5 ソケットの位置に合わせた切り込みがあり、キーのような働きをして、DDR4 や DDR3 などのサポート対象外のモジュールタイプの挿入を防止します。
DDR4 と異なり、DDR5 モジュールのキーは、UDIMM(Unbuffered DIMM)および RDIMM(Registered DIMM) のモジュールタイプとでは、異なる位置にあります。(以上は、Kingstone社より引用)
尚、2つのDIMMの違いはバッファリング有無です。デスクトップPCで使用する一般メモリのUDIMMには、バッファリング(Register回路)はありません。
RDIMMは、バッファリングによって、多数のDRAMチップを接続できるため、容量が大きく、高速なメモリが実現できます。また、高速化による処理性能の向上や、信頼性の向上も期待できます。このため、RDIMMは、サーバーなどの高負荷環境で利用され、高速・高信頼性の処理が可能になります。
(注記)UDIMM(アンバッファードDIMM)は、デスクトップPCで使用するメモリの最も一般的なフォームファクタです。 ノートブックPCなどの小型システムで使用するSODIMM(スモールアウトラインDIMM)はピン(モジュール下部の金色の先端)の数が少なく、UDIMMより物理的に短くなっています。
さて下の「DDR5 SDRAM一覧表」のメモリー規格2種類の名称で、DDR5-XXXX は、メモリチップ規格であり、PC5-YYYYY は、モジュール規格と言われるもので、どちらも使われています。
メモリチップ規格は、データ転送レート(=動作周波数、4000Mbpsなど)、モジュール規格は、搭載メモリチップの(すなわちメモリモジュールとしての)転送速度(32000MB/sec = 32GB/sなど)を示しています。
【DDR5 SDRAM一覧表】: ◆印: Amazon 販売(デスクトップPC用)を確認できた
メモリー規格 | データ転送レート (Mbps) |
帯域幅:データ転送速度 (MB/sec) 1channel当り |
バスクロック周波数 Frequency(MHz) |
---|---|---|---|
◆DDR5-4000(PC5-32000) | 4000 | 32000(32GB/s) | 2000 |
DDR5-4400(PC5-35200) | 4400 | 35200(35.2GB/s) | 2200 |
◆DDR5-4800(PC5-38400) | 4800 | 38400(38.4GB/s) | 2400 |
◆DDR5-5200(PC5-41600) | 5200 | 41600(41.6GB/s) | 2600 |
◆DDR5-5600(PC5-44800) | 5600 | 44800(44.8GB/s) | 2800 |
◆DDR5-6000(PC5-48000) | 6000 | 48000(48GB/s) | 3000 |
◆DDR5-6200(PC5-49600) | 6200 | 49600(49.6GB/s) | 3100 |
◆DDR5-6400(PC5-51200) | 6400 | 51200(51.2GB/s) | 3200 |
※注記)メモリ帯域幅(Bandwidth)は、ピークの帯域幅 = (メモリーバス幅) x (データ・レート) で計算され、メモリーバス幅は、8バイト(B)(64 ビット(b))幅ですので、 データ転送レート(Mbps)を8倍すると、この数字が出ます。(バイトは、通常大文字で表し、Bです。)
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【バースト長 (burst length) とは】: burstとは:爆発する,破裂するの意味
アクセスされる連続したセルの数をバースト長 (burst length) という。これが、DDR4 時代の 8 から DDR5 では16 となった。
DDR4の例で言えば、読み書きは原則8つ単位で行われ、4クロックサイクルをひとかたまりとして実行する。(DDRは1クロックで2回転送)すなわち 8 、このDRAMチップの場合は8x8=64bitをひとかたまりで指示することになる。このデータ単位である"8"をバースト長(burst length)と呼び、一気に連続して転送することをバースト(burst)転送と呼ぶ。DDRでバースト転送をする、というのが今のDRAMの高速化に繋がっている。ちなみに、DDR2は4、DDR3 は8だ。
(Qiita パソコンユーザーのためのDRAM入門 Part 2)
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2023年11月3日制作記